活躍する同窓生「豊田チカさん」7
これから
40周年ツアーが終わり、2020年春、17年ぶりにNYCのステージに立つはずでしたが新型コロナウイルス感染症のパンデミックで中止になり、ロンカーター氏とのレコーディングも延期になりました。
そんな中2021年春、ふとしたきっかけで甲状腺乳頭癌が見つかり6月に手術をし、右の甲状腺を摘出しました。それからは声のリハビリに邁進。幸い息子たちも皆大きくなって家事のサポートもしてくれたので助かりました。声帯のすぐ近くを切ったので以前のような声は出なくなりましたが、ジャズは「人生」ですからそれで良いんです。今の私の歌を聴いて、何かを感じて頂けたらそれ以上の喜びはありません。
そして実は絵を描き始めたんです。若い頃はイラストレーターとして本のカバーや挿絵など、いろいろな仕事もしましたが、どちらかというと「営業イラストレーター」だったので、何もない所から生まれてくる「自分の絵」を描きたいと、長年思っていました。ただ、ミュージシャンとしての仕事と3人の息子の子育てもあり、不器用な私は三足の草鞋を履く事に躊躇し、長い間絵を封印していたのですが、そろそろ「The time has finally come!」という感じで描く事にしました。
なので、5月から年末くらいまで暫くライブはお休みし作品作りに精を出すつもりです。(もう既に頂いている地方のコンサートやジャズフェスティバルなどは出演します。)そして年末には個展が出来たら!なんて思っていますが、こればかりは描けないとなんとも言えませんからまだ内緒です(笑)
思うように描けたら個展を開いて、その絵の中でライブが出来たら…なんて夢を馳せています。
音楽家を志す後輩たちへ一言
音楽を演奏する事は、他の職業と違う点が1つあります。それは、仕事にしなくても一人でやっていても楽しいという事です。同じ芸能の世界でも役者さんとかは「一人で演技して楽しい」という事はあまりないでしょうし、落語家さんも1人の部屋で小噺をやって自分で楽しむ事はまずないでしょう。聞く人あり観る人あっての事です。ただ、音楽は1人でピアノを弾いても歌っても楽しい時を過ごすことが出来ます。それは職業としてだけではなく趣味としても素晴らしいという事です。だからこそ考えてみて頂きたいのです。「歌う事が好き、歌う事が人生の支えになっている」という言う事と、「プロの歌手になる」という事は必ずしもイコールでは結ばれない事を。
よく鶴高のキャリア教育でお話するのですが、音楽を愛する人には3つの選択があります。
1つは自分の歌(楽器でも作曲でも)が世間に認められ、ヒットしてスターになることを目指し、芽がでるまでたとえ何十年でも生活の糧はアルバイトしてでも頑張る!
もう1つは、音響照明の学校で勉強して裏方としてステージを支えたり、ゲームの音楽を作ったりして「音楽ビジネス」に関わる。
そしてもう1つは、別の職業に就いて、音楽は趣味として大切にする。
どれが正解でどれが不正解かではなく、自分はどれを選択するのが一番幸せかをよく考えてみる事が大切だと思います。自分らしい選択が出来れば、音楽はみなさんの人生をより豊かなものにしてくれる筈です。
チカさんにとって鶴ヶ丘高校とは?
学生時代の友人はかけがえのない宝です。親しくした友人はもちろんですが、たとえ個人的な付き合いがなかったとしても同じ時代に同じ校舎で学び、同じ景色を眺めた同窓生とは、見えない糸で繋がっているような気がします。私の時代も鶴ヶ丘高校は大きな学校で人数(特に男子)がとても多かったので、口をきいた事がない人の方が多かったですが、卒業して何十年経っても同窓生と会うと懐かしい話に花が咲き、温かい気持ちになれます。そんな同窓生たちの縁(えにし)を繋ぐ、先生方や同窓会の役員さん達のご尽力は素晴らしいと思います。故郷のない江戸っ子の私にとって、鶴高は心の故郷です!
シリーズでお伝えしてきました”活躍する同窓生「豊田チカさん」”を最後までご覧いただきありがとうございました。豊田チカさんのオフィシャルサイトは以下のとおりです。ぜひ、ご覧ください。
同窓会は同窓生を応援しています!
- ジャズボーカリストとして40年。1980年卒業の豊田チカさん / 2023.3.14 公開
- 鶴高時代の想い出 / 2023.3.21 公開
- 豊田チカさんの鶴高時代 / 2023.3.28 公開
- 想い出に残っている先生 / 2023.4.4 公開
- JAZZを始めたきっかけ / 2023.4.11 公開
- チカさんにとってJAZZとは / 2023.4.18 公開
- これから / 2023.4.25 公開